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2008年11月21日 (金)

チルチンびと 別冊22号 プレゼント

081211月19日に風土社から『チルチンびと別冊号』が発行されました。

”チルチンびと”は、「住まいは、生き方」をコンセプトに、自分らしい家づくり・暮らしづくり」を考える人びとのために、住まい手の視点に立った誌面づくりに取り組んでいる雑誌です。

この別冊は、太陽の熱や風など自然の力を活用して、冬暖かく夏涼しい室内環境を作り出すOMソーラーを特集したもの。
このブログで紹介中の 鹿児島市紫原のアーキスタジオ fuga も掲載されました。
この雑誌を50名の方にプレゼントします。ご希望の方はメールで送り先を連絡ください。
ただし、鹿児島県内の方に限らせていただきます。
雑誌の内容は風土社のホームページで確認できます。
鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月17日 (月)

200年住宅のつくり方 №18 床仕上

Dsc_0066ここで採用した床材は、鹿児島県産の杉を燻煙乾燥し、更に浮造り(うづくり)加工したもの。ネダレス合板(構造用合板)の上に割り付けて張ります。

浮造りは、床材に加工したあと、ワイヤーブラシを表面に掛けて仕上げます。こうすると、板目の柔らかい部分(年輪と年輪の間)が削り取られて表面に凹凸ができ、浮き出た仕上がりになります。

凹凸があるので滑りにくくなり、また、べったりと足裏に張り付く感じもなくなるので、夏は爽やかで冬は暖かみを増します。

この床板と一般に用いられるフロアー合板を冷蔵庫で冷やして比較すると、その差は一目瞭然。

まず、手触り。表面温度は同じのはずなのに、手のひらで感じる冷たさがぜんぜん違います。また、合板は表面に結露しますが、無垢の杉板にはまったく結露がなく、さらっとしています。梅雨時に裸足に感じる床の”めっちょり”感がなくなるわけです。

また、柔らかいので、長時間の立ち仕事でも疲れにくいのですが、その分キズがつきやすいのは欠点です。手元から落ちた氷の角で凹んだぐらいですから、キズや汚れを気にする方には不向きですね。

もちろん、塗装することは可能です。でも、表面に膜を作るウレタンなどの塗料を塗ると、これまで述べた長所はなくなってしまいます。洗面所だけ水対策で塗装したお宅がありますが、入居後すぐにやはり塗装無しがよかったとおっしゃってました。

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塗装を何もしないわけではありません。米ぬかを原料とする自然塗料”キヌカ”を刷り込んでいます。溶剤を使っていないので、赤ちゃんが舐めても安全な塗料です。杉の自然な木目が際立ってきます。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月15日 (土)

200年住宅のつくり方 №17 仕上材を考える

長期に亘り住み続けるなら、仕上げ材はできる限り自然のものを選びたい。
新建材は完成したときが一番きれいで、年月とともに古びていく。

自然素材も汚れていくが、風合いや味わいが出てきて美しさが増し、愛着が出てくる。
この愛着が住み続けるために大切なものだと思う。

もう1年以上前になると思うが、SONYの携帯電話のデザイン開発を追うテレビ番組があった。北欧(だったと思う)にそのデザインオフィスはあり、世界各地からデザイナーが集まっていた。

新しい携帯電話のデザインコンセプトを決めるミーティングで、「使い込むことで手に馴染む」、「キズが味わいになる」、「ビンテージのジーンズ」のようなものを作りたいと話していた。

ひとりの黒人が『パティーナ』と言うと、みんなが『パティーナ』、『パティーナ』と口にしだした。

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英語のpatinaは、緑青、古色、寂と和訳されるが、ラテン語には「経年変化の美しさ」という意味があるらしい。日本流では、苔の生した庭であったり、銅板で葺いた屋根の緑青の味わいだったり、まさに年月が醸し出す侘び・寂びの美しさである。

200年住宅ではこんな材料を選びたいと思う。内も外も。”年月を経た”風の新建材ではなく、美しく寂びていく仕上げ材を。

新建材を全否定しているのではありません。新建材には自然素材に勝る点もいっぱいあります。新建材を選ぶ基準を考えたいということです。

例えば外壁のサイディング。必ず塗替えをしなければならない時がきます。
とても気に入って選んだタイル調やレンガ調の模様のサイディング。塗替えの時、上から吹付ける塗料は単色なので、目地のメリハリや微妙な色の風合いは全くなくなります。

この状態で、『パティーナ!』と言えるでしょうか。『いつまでも住み続けたいたいなぁ』、『子どもたちにこのまま大切に住んで欲しいなぁ』と思えるでしょうか。

この気持ちが持てることが住まいを大切に思う気持ちとなり、結果、長寿命住宅になるのではないでしょうか。

仕上げ材を考えるときに、『パティーナ』って言葉を思い出してください。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月12日 (水)

200年住宅のつくり方 №16 ペレット(薪)ストーブ

このモデルにはペレット(薪)ストーブを設置しています。

080827_044 ペレットは製材所やプレカット工場などで出る木材の端材を粉砕し、圧縮・成形した固形燃料。だからペレットストーブは地球環境に優しい上、家計にも優しい暖房器具です。

ペレットの製造過程で木材を乾燥させるので、着火も良く燃焼時の煙も少ないです。また、炎は心を落ち着かせてくれますし、遠赤外線が体の芯まで暖めてくれます。小さなストーブですが1台で30坪の家を暖める能力があります。

Dsc_0039Dsc_0045ペレットや薪を燃やしますので、煙突が必要です。

屋根を切り開け、周囲には防火板を張り付けます。 Dsc_0061煙突と屋根材との隙間からの雨水の浸入に備え、捨て樋を収めました。

Dsc_0063Dsc_0151更にフラッシングをセットし、屋根を葺きます。

Dsc_01112階の天井はこんな感じ。断熱材(石綿)を巻いています。

Dsc_00522階の床の貫通部分には眼鏡石と呼ぶ断熱材を嵌め込みます。 

   Dsc_0027設置が完了しました。

OMソーラーパネルの下にあるのは太陽光発電パネル。OMソーラーを動かす電気は太陽で作ります。省エネなのはもちろん、地震などの災害で電気・ガスが止まっても稼働するので安心です。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月11日 (火)

200年住宅のつくり方 №15 OMソーラーパネル

200年住宅は地球環境にも優しくなければいけません。この住宅はOMソーラーの家。太陽熱で床暖房をする働く家です。

Dsc_0079太陽の熱を集めるために屋根に細工をします。

太陽光線と屋根面とが直角に近いほど受ける太陽エネルギーは大きくなります。冬の太陽高度は低いので集熱パネルの屋根面は勾配をきつくします。ここでは45度にしました。

Dsc_0126”№10屋根断熱”のとおり、断熱材の上に遮熱シートを張り、その上に通気層をつくっています。軒先から入った空気がこの通気層を通り抜ける間に太陽熱で熱くなった屋根材の熱で暖められるのです。

屋根材はガルバリウム鋼板。瓦棒葺きです。

Dsc_0030一般的な屋根通気工法の場合、屋根面で暖められた空気は、 屋根の一番高い部分(=棟)から排出されます。

OMソーラーの家では、この暖かい空気を暖房やお湯を作るのに使うので、集めなければなりません。そのダクトが北側の屋根にあります。

屋根面を通り抜け、暖まった空気がダクトに入り、ここからファンで床下に送られるのです。

Dsc_0107風や気温の影響を抑え、より高温の空気を作るためにガルバリウム鋼板の上に強化ガラスを固定します。真冬でも60℃程度にまで上昇します。

Dsc_0115美しい屋根が完成しました。

太陽が暖めた空気が床下のコンクリートを暖め、蓄熱し、ふんわり暖かい室内に感激するとともに太陽に感謝の気持ちが生まれます。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月10日 (月)

200年住宅のつくり方 №14 内部下地状況

さて、内部はどんな状態になっているのでしょう?

Dsc_0049 1階の状況です。内部に耐力壁がないので、基礎の立ち上がりもありません。鋼製束で支えられた大引きの上に28㎜の構造用合板を敷き詰めます。(通常は大引きの上に根太を打ち付けます。)

キッチンの床Dsc_0017は16㎝低くしています。壁は外側断熱なので壁の内部は空洞になります。この上にプラスターボードを貼り、珪藻土を塗って仕上げます。壁下地の外側に見えるのは構造用合板です。

Dsc_00082階の状況です。1階と同じで床は梁の上に構造用合板を張ります。

Dsc_0093天井の仕上げがある部分には格子状に下地を組み、プラスターボード等を張り付けます。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

2008年11月 8日 (土)

200年住宅のつくり方 №13 棟上(むねあげ)

今日は棟上(むねあげ)、上棟式のお話し。080216_034b080216_046b

「上棟式」は建前(タテマエ)とも呼び、無事棟が上がったことに喜び、感謝するもの。つまり、上棟式は「儀式」というよりも施主が職人さんをもてなす「お祝い」と言えます。工事に関わった人が一同に会し、今後の工事の安全を祈願し、お互いの協力の元に家をつくり上げていこうとする意思表示の会と言えます。このようにお祝いの意味合いが強いので、一般的な住宅の場合では神主さんは呼ばないことが多くなりました。

○上棟式に際し、施主(建築主)が用意するもの

1.塩、お神酒(1升一本)、洗米→上棟の儀
2.料理、飲み物→宴席
3.ご祝儀
4.引き出物、折り詰め等

○一般的な上棟式の進行
・棟梁が棟木に幣束(ヘイグシ、またはヘイソク)、五色を立て破魔矢を飾る
・建物の四方に酒・塩・米をまいて清め上棟の儀を行う
・上棟の儀の後、施主のあいさつ、乾杯を行い直会(宴会)へ
・工事に関わっている職人さんの紹介
・施主から職人へご祝儀を渡す。
・お開き。手締めを行う。

棟上のこと、もっと知っておきましょう

◇五色

五色は、古代中国に成立した五行説(ごぎょうせつ)に基づくもので、我が国にも受容されました。この説は宇宙間の森羅万象(しんらばんしょう)を、五元素である「木・火・土・金・水」の行い(作用)により具象化されたものとして捉えます。この五元素は、色彩の他、方位や季節、時間、十干、十二支、惑星、内蔵、人間精神などさまざまな事象に当てはめられています。ですから五色は天地万物を組成している五つの要素の象徴であり、宇宙そのものを表したものということができます。

具体的に「木・火・土・金・水」を色彩で表すと、「青・赤・黄・白・黒」の順序となり、方位では「東・南・中央・西・北」を示すので、「土=黄=中央」が最も尊貴であるとも考えられています。また、神社の殿内装飾として用いられる四神旗(しじんき)に描かれている四方位の霊獣も、それぞれ五行に配されており、貴き中央を除き、「東=青龍」「南=朱雀」「西=白虎」「北=玄武」となっています。

現在、真榊や五色旗に用いられている五色布は、真榊の場合は両端より中心に向かって、青・黄・赤・白・紫の色の順序に、上棟祭の吹き流しで一列に並べる場合は、東方より青・黄・赤・白・紫の順に並べるのが通例となっており、色や順序が多少異なりますが、意味には相違がないことと思われます。

◇おかめ伝説

“おかめ伝説”は、京都の大報恩寺本堂(千本釈迦堂)を造営する時に大工の棟梁であった“高次”が、代わりのない大切な柱の1本の寸法を誤って短く切ってしまい、思い悩んでいた夫の姿を見た妻の“おかめ”が懸命に仏にすがって祈ったところ、「斗拱(ときょう)をほどこせ」という仏のお告げが夢枕にあり、それを夫に提言したそうです。

 その結果、高次は柱上に斗拱を載せ長さを補い、無事に本堂を竣工することが出来たというものです。おかめは、「女の助言で大任を果たしたことが世間に漏れ伝えては夫の名に傷がつく」とお堂の完成前に自害したと云われます。

高次は1227年(安貞元)1226日の厳粛な上棟式に、亡き妻“おかめ”の名に因んだ福面を扇御幣につけて飾り妻の冥福とお堂の完成を祈ったと伝えられています。

 この伝説に基づき、五色や幣束には扇とともに櫛や手鏡が供えられています。

◇三りんぼう

三りんぼうは「三隣亡」とも書かれ、棟上げなど建築に関することの凶日とされています。その字面から、この日に建築事を行うと、三軒隣まで亡ぼすという迷信があります。

三隣亡は、古い暦注解説書には書かれていません。江戸時代の本には「三輪宝」と書かれ、「屋立てよし」「蔵立てよし」と注記されていました。すなわち、現在とは正反対の吉日だったことになります。これがいつの頃からか「屋立てあし」「蔵立てあし」と書かれるようになったのです。これは、ある年に暦の編者が「よ」を「あ」と書き間違え、それがそのまま伝わってしまったのではないかと考えられています。後に、「三輪宝」が凶日では都合が悪いということで、同音の「三隣亡」に書き改められたということです。

三隣亡は、少し前までは建築関係者の大凶日とされ、棟上げや土起こしなど、建築に関することは一切忌むべき日とされ、高い所へ登るとけがをすると書いている暦もあります。

風雅匠房 深野木組

2008年11月 7日 (金)

200年住宅のつくり方 №12 給排水配管

080216_061 建物を長期に使用していく間には必ず模様替え、リフォームがあります。

その際に障害になるのが給排水の配管。建物を長期で考えるとき、設備の更新のしやすさも考えておかなければいけません。

ここでは、さや管工法とヘッダー工法で施工しました。

080216_047080216_046給水管・排水管の基礎コンクリート貫通部分に、本来の管よりも一回り大きい樹脂製のパイプ(さや管)を打ち込み、その中を本来の給水管を通します。給水管を取り替える必要が生じたとき、コンクリートを壊さずに工事ができます。

床下の配管はヘッダー工法です。ヘッダーと呼ばれるユニットから各配管へ分岐されます。ヘッダーから各給水栓まで途中に分岐がないので、複数の水栓を同時に使用した場合でも、水量変化が少なく、安定した給水、給湯量が得られます。

更に2階への配管のためのスペースを室内から点検できる場所に設け将来に備えています。

鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組

 

2008年11月 6日 (木)

200年住宅のつくり方 №11 壁断熱

Dsc_0024Dsc_0025外壁には全面構造用合板を貼り付けます。

その上に板状の断熱材を貼り付けます。外断熱・外側断熱と呼ばれる工法です。使用する断熱材は屋根と同様木質断熱材のDsc_0075bフォレストボード。隙間なく連続した断熱面を作れるので、断熱効果が高く、壁内部の結露の心配がありません。

 

Dsc_0097Dsc_0096    フォレストボードの外側にはこれもまた屋根同様、アルミを蒸着させた透湿防水シート、タイベックシルバーで包み込みます。

Dsc_0179_4この上に通気胴縁を打ち付けてサイディング等の外装仕上げ材の内側に空気の流れる空間をつくります。空気が外壁内側を流れることで外壁構造部分の乾燥を維持し耐久性を高めます。

さらに、タイベックシルバーの遮熱性能により、外壁材の熱を反射し壁内部への熱伝導を押さえ、断熱性能を高める効果があります。

この住宅の西面の壁仕上げ材は鋼板を亜鉛とアルミニウム、シリコンでメッキしたガルバリウム鋼板。夏の厳しい西日で表面温度は70℃を超えます。でも、断熱材(フォレストボード)の室内側の表面温度は32℃。窓を開けてクーラーOFFの室温と一緒。これには正直、私も驚きました。

鹿児島の木でつくる木造住宅
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