200年住宅のつくり方 №18 床仕上
ここで採用した床材は、鹿児島県産の杉を燻煙乾燥し、更に浮造り(うづくり)加工したもの。ネダレス合板(構造用合板)の上に割り付けて張ります。
浮造りは、床材に加工したあと、ワイヤーブラシを表面に掛けて仕上げます。こうすると、板目の柔らかい部分(年輪と年輪の間)が削り取られて表面に凹凸ができ、浮き出た仕上がりになります。
凹凸があるので滑りにくくなり、また、べったりと足裏に張り付く感じもなくなるので、夏は爽やかで冬は暖かみを増します。
この床板と一般に用いられるフロアー合板を冷蔵庫で冷やして比較すると、その差は一目瞭然。
まず、手触り。表面温度は同じのはずなのに、手のひらで感じる冷たさがぜんぜん違います。また、合板は表面に結露しますが、無垢の杉板にはまったく結露がなく、さらっとしています。梅雨時に裸足に感じる床の”めっちょり”感がなくなるわけです。
また、柔らかいので、長時間の立ち仕事でも疲れにくいのですが、その分キズがつきやすいのは欠点です。手元から落ちた氷の角で凹んだぐらいですから、キズや汚れを気にする方には不向きですね。
もちろん、塗装することは可能です。でも、表面に膜を作るウレタンなどの塗料を塗ると、これまで述べた長所はなくなってしまいます。洗面所だけ水対策で塗装したお宅がありますが、入居後すぐにやはり塗装無しがよかったとおっしゃってました。
塗装を何もしないわけではありません。米ぬかを原料とする自然塗料”キヌカ”を刷り込んでいます。溶剤を使っていないので、赤ちゃんが舐めても安全な塗料です。杉の自然な木目が際立ってきます。
鹿児島の木でつくる木造住宅
風雅匠房 深野木組
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